輸入車の乗ってしまうと捨てられなくなるものがあります。それは安全性に関する装備です。
安全性能には事故を起こさないための装備と、事故が起こったときの被害者と加害者に起こる被害を最小限に留めるための装備の二通りがあります。
クルマに求められる最低限の安全性能は各国の法律によって定められています。
日本向けの国産車は日本の基準を満たせばいいのですが、輸出向けの日本車は世界の安全基準を満たしたものが輸出されています。
このような理由から、日本で買うことができる国産車は日本でしか通用しないものが多いことが容易に想像していただけると思います。
日本で買える輸入車はその反対です。
生産の効率から考えると輸出先の法基準だけに合わせたクルマを輸出すると製造コストが上昇してしまいますので、世界中の安全基準に合致したものだけが日本に入ってくるということになります。
メルセデス・ベンツのAクラスの安全装備をご紹介しますのであなたのクルマと比べてみてください。
この図はAクラスとBクラスに採用されているサンドイッチコンセプトの概念図です。
先進のサンドイッチコンセプト
このコンセプトは、サンドイッチのような2重構造のフロアと、驚くほど小型・軽量化されたエンジンとトランスミッションのパワートレインで構成されます。パワートレインはその一部がフロアの下に入るように配置され、正面衝突時にはフロアパネルの傾斜に沿って下方に滑るように移動します。
このためパワートレインの室内への侵入を抑制し、また衝撃を吸収するボディ前部の空間を拡大できます。しかも2重構造フロアでサイドメンバーの位置が高く、乗員はその上方に座っているため、側面衝突時にも直接の衝撃を受けにくくなるのです。高いボディ剛性と十分なクラッシャブルゾーンを確保するとともに、Sクラスとの衝突実験を重ねてクラスを超える高度な安全性を実現したAクラス。その衝突安全性の高さも、まさにメルセデスです。
このように小型車を設計する際にSクラスやEクラスなどの大型車に匹敵する緊急時の乗務員の保護をどのようにすれば確保できるかということから開始されています。
次に事故に遭わないための装備です。
アダプティブブレーキライト
50km/h以上の速度で走行中、ドライバーがアクセルペダルから急に足を離してブレーキを踏み込むと、コンピューターが緊急ブレーキ状態であると判断。後続のドライバーが明確に視認できるようブレーキランプを自動点滅させます。また、70km/h以上でアダプティブブレーキライトが作動した場合には、その後の停止状態時にハザードランプが自動で点滅。これらにより緊急時に確実な警告を行い、後続車のいち早い対応を促すことで追突などを未然に防ぐよう図ります。
ヒルスタートアシスト
坂道発進時、ドライバーがブレーキペダルからアクセルペダルに踏みかえる際の突然の後退や前進を防止します。センサーが一定以上の傾斜を感知すると、ドライバーがブレーキペダルから足を離した後も約1秒間、制動状態を保持。確実な坂道発進を容易にすることでドライバーの負担を減らし、安全走行をサポートします。
タイヤ空気圧警告システム
4輪のタイヤのうちいずれかの空気圧が大幅に低下すると、マルチファンクションディスプレイにメッセージを表示して警告します。
ESP®(エレクトロニック・スタビリティ・プログラム)
コーナリング時に車の走行ラインがコーナー外側に膨らんだり(アンダーステア)、内側に曲がりすぎたり(オーバーステア)、危険回避のための急操舵時にスリップしたりすることがあります。こうした状況を避けるためのアクティブセーフティ機構が、ESP®。ABS(アンチロック・ブレーキング・システム)と発進・加速時のホイールスピンを抑えるASR(アクセレレーション・スキッドコントロール)を統合的に制御し、ドライバーがコントロールしきれなくなる前の極めて早い段階で、安定した走行姿勢への回復を図ります。
ステアコントロール
AクラスにはESP®と連係して働くステアコントロールを採用しました。これは、滑りやすい路面での制動時やオーバーステア時などに、コンピューターが安定した走行姿勢を維持できないと判断した場合、ステアリングホイールの微振動により警告を促すとともに、適切な回避操作が行えるよう操舵トルクを調整する機能です。
ABSとBAS(ブレーキアシスト)
Aクラスは4輪ディスクブレーキを採用。前輪のベンチレーテッドディスクと後輪のディスクが優れた制動力を発揮します。そして、ブレーキング時のホイールロックを抑え、ステアリング操作による障害物回避を可能にするためのABSとともに、BASを標準装備しています。
BASは、ドライバーがブレーキペダルを踏む速度をコンピューターが認識し、その速度が基準値を超えると緊急ブレーキ状態であると判断してシステムが作動。ブレーキ圧を最大限にまで高め、より短い時間で減速するためのブレーキ作動をアシストします。
次にこれらの事故回避装置が働いても回避できなかった不測の事態での安全装置です。
シートベルトテンショナーとベルトフォースリミッター
万一に備えてもっとも重要なのは、乗員全員がシートベルトを正しく着用することです。メルセデスでは、シートベルトの乗員保護性能を高める様々な技術を開発。前席にベルトフォースリミッター付シートベルトテンショナーを、後席左右にはシートベルトテンショナーを採用しました。シートベルトテンショナーは、前面衝突時にベルトを瞬時に巻き上げ、乗員をシートに引き寄せることで乗員への衝撃を低減する機構。ベルトフォースリミッターは、前面衝突時に巻き上げたベルトの拘束力を制御し、乗員の身体に加わる負担を軽減します。
計6カ所のSRSエアバッグとアクティブヘッドレスト
運転席と助手席のSRSエアバッグは、衝撃の大きさに応じて展開の程度を2段階に制御します。前席のSRSサイドバッグと、前席から後席にかけて展開するSRSウインドウバッグは、側方からの衝突時に乗員の頭部や胸部がドアやドアウインドウ、ピラーなどに直接あたることを防ぐための備えです。また、後席左右にはISO-FIX対応チャイルドセーフティシート固定装置を備えています。アクティブヘッドレストは、後方からの衝撃から乗員の頭部や頸部を守るためのシート構造。追突時、シートバックにかかる乗員の重みによってヘッドレストを前方へ移動させ、頭部が後方へ反り返ることを防ぎます。
緊急時に室内灯を自動点灯させるライティングシステム
世界に先駆けるメルセデスの安全思想を採り入れたAクラスでは、事故後の備えについても万全を期しています。そのひとつがエアバッグを作動させるような衝撃が発生した際、即座に室内灯を点灯させる新たなライティングシステムです。これにより、夜間における緊急時にも乗員周辺の状況をつかみやすくするほか、迅速な救出活動を支援します。
これらの安全装備が小さなボディーに詰め込まれたAクラスは現在の車両本体価格(税込み)で269~305万円で販売されています(私が買った2年半前は10%程度安かった)。
あなたのクルマにオプションで同様の安全装備にしたら一体いくらになるでしょう?
MINIを購入した時にマツダのデミオやスズキのスイフトなどの国産コンパクトの比較検討しました。最低でも横滑り防止装置とサイドエアバックが装備できるグレードは最上級のスポルトやスポーツのみで、それにオプションで見積もってもらうとMINIと変わらない価格になってしまいました。更に、乗車定員分のヘッドレストと3点式シートベルトは海外向け仕様を逆輸入しない限り装備することができませんでした。
ちなみに今、話題の新しいハイブリッド車ですが一般的に新型プリウスよりもインサイトの方が安いとされています。
しかしサイドエアバックや横滑り防止装置が標準装備のプリウスに対してインサイトは主にオプション設定となっています。
新型プリウスのGグレード(前にプリウスGに乗っていたので)の装備を基本にインサイトに欠けている装備を追加すると、インサイトの最上級グレードのLSにサイドエアバックをオプション注文することになります。そうすると諸経費込みの見積もり価格がほぼ同額になりました。さらにプリウスはクルーズコントロールやスペアタイヤが付いてきますが、インサイトには装備することさえできませんでした。
ホンダは日本人の価値基準をうまく利用して「安価なハイブリッド車」を謳っていますが、「安全で安価なハイブリッド車」という価値基準ではプリウスに軍配が上がることになっています。
事故を防ぐ、万が一のときの被害を最小限に留めることを考えれば輸入車はかえって安い買い物なのかも知れません。
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