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2009年5月15日 (金)

バイアグラの価格

Photo業界を去って10ヶ月。
そろそろ医薬品業界のカミングアウトを書いてもいい時期かなと思っています。
第1回目の話題は、誰でも知っていますが、ほとんどの人が正確な知識がないバイアグラについて書きます。

バイアグラの一般名は「クエン酸シルデナフィル」といい、米ファイザーが心臓病の治療薬として開発を始めましたが、思わぬ偶然でEDに効果があることがわかり、開発の方向性を変更して世に出てきた薬剤です。

現在はED治療のみならず、肺高血圧症という難病の治療薬としても臨床で活用されています。

バイアグラは日本で(世界で?)最も一般人が誤解している薬剤かもしれません。
今回はバイアグラの価格について書きます。

日本で承認されている剤型は25mgと50mgの錠剤。海外ではそれに加えて100mgの錠剤もその国の当局から承認されて発売されています。

EDという疾病は生命にかかわる病気ではないので日本の健康保険の適応にはなりません。歯医者さんで金歯を入れると実費になるのと同じ理由で自由診療という部類に入ります。
保険診療は国が診断や治療、お薬の値段まで決めているので医療機関や薬局が異なってもそれほど値段が変わりません。
しかし、自由診療は施設が独自に価格を決定できるので受診や投薬される施設で負担額が大きく異なります。

しかし、おくすり代があまりに差があっても困るので、メーカーがおくすり代のおおよその指針を出しています。
バイアグラでいうと25mgで1錠1100円、50mgは1300円と医療機関に対して指針を出しています。

その理由は、アメリカでは25mgも50mgも100mgもすべて$10で販売されているからです。
この考えはおくすり代という概念ではなくてEDの治療費が1回$10であって、患者さんの病態で剤型が変わるのでミリ数で価格を変えていません。

1300円というのは日本での発売当時の為替での$10ということなんです。日本の常識では量が少なくても価格が同じということは考えられないので25mgは少し安く設定されている訳です。

医療機関や薬局に卸す仕切価格は上記指針に基づいて決定されています。
しかし、自由診療なので医療機関や薬局は1100円や1300円にしばられることなく自由に価格を決めることができます。

最近、禁煙外来などと標榜する医療施設があることはご存知かと思います。
厚生労働省は生活改善薬は直接生死にかかわらないので原則的に保険適応させる考えはないようです。世界的には科学的に効果が証明されているダイエットの医薬品が開発されていて臨床応用されていますが、日本では商売にならないのでメーカーも積極的に発売しようとはしません。
禁煙に関しても同様の考えで長年自由診療で治療されていました。しかし、禁煙に関しては社会からの要望も強くて、一部の治療に関して決められた医療施設のみ保険で治療できるようになっています。

EDも国によっては保険適応されているようですが、日本ではこれまでも、そしてこれからも自由診療としての扱いは変わらないように思われます。

バイアグラのおかげであきらめていた子宝に恵まれた。脊髄損傷で寝たきりの夫を若い夫婦が数年ぶりにひとつになれた、うつ病から脱して社会復帰するもなかなか自分に自信をもてずにいた方が性行為が普通にできたことがきっかけでみるみる回復された…。
マスコミからの偏った情報とは程遠く、社会貢献できている薬剤なのですが真実を理解している方はほとんどいません。

言いたいのはマスコミの興味本位な報道のあり方、想像の領域で大々的に取り上げて、真実が分かってからは小さくしか取り上げなかったり記事にしなかったり…世論を誘導することだけに注力して、真実を伝えるという本来の使命を果たさないという事実が最近はあまりにもひどすぎるということです。

最近では新型インフルエンザについていたずらに恐怖心をあおるような報道しかなされていないことを危惧しています。
これについてはこの事件が落ち着いてから気が向いたら書いてみたいと思っています。

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コメント

へーぇ正規は案外安いですね。
会社の人は1錠5000円で買ったと自慢げに見せてくれましたが、かなりボッタくられてたのですね。

私は恥ずかしながら某スポーツ紙でお馴染みの大人の薬局で蟻の何とか飲み薬とオットセイ何とかの塗り薬を試した(誰でかって?内緒)ことが有りますが効き目はブラシーボでした(笑

やっぱりお医者さんで貰う薬じゃないとだめですね。

まこやんさん

バイアグラやハルシオンなどマスコミを通して知名度が高い医科向けの医薬品は必要がない人が興味本位使いたがる傾向がありますが、そうな人がお医者さんに診察をうけても恐らく処方してもらえないでしょう。
どうしても欲しければ裏ルートから入手せざるを得なく割高になってしまうのは市場原理からも当然のことだと思います。
勃起不全も不眠もそれが日常生活に影響がでる程深刻な人は医療の力で救わなくてはなりません。
そんな人のために医薬品はあります。
浮気のために、犯罪やいたずらのために必要という人はお医者さんがスクリーニングして処方しない仕組みになっています。
効果と副作用が科学的に確認されている薬剤は興味本位の人は手に入らないので、効果があるのかないのか不明な(プラセボ効果が期待できる)薬剤を薬局で入手するか、ぼったくられても裏ルートから入手するしか方法がないと思います。
まこやんさんも会社の人も現在の仕組みの中では普通の出来事ですよ。

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